木製什器は安い・・・その”常識”は30台でひっくり返る?
什器製作を検討している企業のご担当者から、とってもよく聞かれる質問。
「木と鉄、どちらが安いですか?」
実は、この質問には一概に答えることができません。
その質問に答えるために私たちがまず最初にお聞きしたいのは・・・
「何台作りますか?」という質問なのです。
木製はたしかに安い

これは本当です、たしかに安い。 でも条件があります。
例えば・・受付カウンターを1台、 イベント什器を2台、 サンプルを1セット。
このくらいの数量なら、木工のほうが圧倒的に有利になります。
化粧板やランバーコア、フラッシュ構造、ベニヤ、角材など、
さまざまな材料を職人が組み合わせながら製作できるので、初期費用がほとんどかかりません。
つまり、 少ない台数なら木工はかなり強い。
30台になると景色が変わる?
ここからが、製造業の面白いところです。
スチール板金の場合・・・
CADデータを作る・レーザーで加工する・曲げの設定をする・溶接用の治具を作る・塗装の準備をする
など、最初に必要な準備があるんです。
つまり、「最初だけ少しお金がかかる」という特徴があります。
なので、1台だけ作るとどうしても割高になります。
でも、30台作るなら、その準備費は30台でわけられて、100台なら、100台で分けられる。
そうすると、作る数が増えるほど、1台あたりのコストは下がっていく。
これが、量産の面白いところです。
木工は量産しても”職人の時間”は減らない
ここは意外と知られていないポイント。
木材は一本一本に個性があります。
反りや曲がりを見ながら調整したり、欠けを処理したり。
さらに、木口処理、化粧板貼り、研磨、建付け調整など、最後はどうしても人の手が必要になります。
つまり、30台作るなら、30回必要になる作業が多い。
そのため、台数が増えればもちろん単価は下がるのですが、スチールのように大きくコストが下がるわけではありません。
「たくさん作れば安くなる」というより、「作る数が増えても職人の手間が残りやすい」のが木工の特徴です。
これが、木工とスチールの大きな違いです。
スチールは”機械が仕事をする”

レーザー加工機は、一度プログラムを作ってしまえば、100枚でも200枚でも、ほぼ同じ品質で加工できます。
ベンダー(曲げ加工機)も、同じ形状の加工なら、短時間で同じ作業を繰り返すことができます。
塗装もまとめて処理できるため、台数が増えるほど効率が良くなります。
そのため、30台を超えるような案件では、木製什器よりスチールのほうが安くなるケースも少なくありません。
もちろん、サイズや板厚、塗装の種類、デザイン、溶接の量などによって結果は変わります。
でも、「作る数によって、選ぶべき素材は変わる」
これは製造現場では、よくある話なのです。
実は多くの会社が間違えるポイントとは?
それは、「木製にするか」「鉄製にするか」から考えてしまうことです。
まず考えるのは、
何台作るのか、どのくらい使うのか、どうやって運ぶのか、どこに設置するのか
そして最後に、「木にするか、鉄にするか」を決めます。
大切なのは、素材から考えるのではなく、製造方法から考えること。
それが、製造コストを下げる一番の近道です。
私たちは見積もりを作る前に、図面を見るより先に、まずこう聞きます。
「今回は何台作りますか?」
その答えによって、最適な製造方法は大きく変わります。
1台なら木工が向いているし、30台なら板金が有利になる。100台なら、そもそもの設計を変えたほうが安くなることもあります。
価格を決めるのは材料だけではありません。価格は、ロット数で大きく変わるのです。