ネジはなぜこんなに種類があるの??それには全部理由があります
「ネジなんて、どれも同じじゃない?」
そう思っている人ほど、ものづくりの面白さをまだ知りません。
ホームセンターへ行くと、壁一面に並ぶネジ。
初めて見る人なら、 「長さが違うだけでしょ。」 「太さくらいしか違わないんじゃない?」 ・・・そう思うかもしれません。
でも、私たち製造業の人間からすると、あそこはただのネジ売り場ではありません。
設計思想がずらっと並んでいる場所。
だからネジを知ると、ものづくりが少し面白く見えてきます。
ネジは何種類あると思いますか?
100種類? 1,000種類? 実はそんなレベルではありません。
頭の形。 ネジ山。 材質。 強度。 メッキ。 ネジピッチ。 ドライバー形状。 規格。
それらを組み合わせると、現場で使われる種類は数万通りにもなるんです。
皆さんが普段見ているネジは、その世界の入口にすぎません。
様々な頭の形

◆ナベ頭
丸くて、おそらくいちばんよく見るネジです。 ふつうのネジ。
・・・ではありません。 扱いやすく、 締めやすく、 コストも抑えられる。
万能だからこそ、一番使われています。
◆皿頭
頭部が円すい形になっていて、締め付けると部材の表面とほぼ平らになるネジ。
例えばもし受付カウンターからネジが3mm飛び出していたら・・袖が引っかかったり、バッグがすれてしまったり、ノートPCに傷が付いたりしてしまいます。
だから皿ネジは頭が沈むようになっています。
見た目をきれいにするだけでなく、なにより、何も起こさないために。
◆トラス頭
頭が他より少し大きい。
実はその数ミリが、 アクリル板を守り、 樹脂を守り、 化粧板を守っています。
押さえる面積が広いというだけで、割れにくくなるのです。
◆六角ボルト
大きいから強いわけではありません。六角ボルトの形は、人が最も大きな力をかけやすい形だからつかわれています。
橋でも、工作機械でも、大型什器でも、最終的にはこの“六角”という形に行き着きます。
それは、確実に力を伝え、しっかり締結できる形だからです。
ネジ山の意味
そもそも「ネジ山」とは何かというと、ネジの軸の表面にある、らせん状の凸部分のことです。
例えば、ボルトやネジを見ると、軸の周りにぐるぐる回る溝があります。その盛り上がった部分が「ネジ山」です。

◆タッピングネジ
相手へネジ山を作りながら締まります。 あらかじめ作った小さい穴だけあれば、ナットがなくてもそのまま固定できます。
仕事を減らすネジですね。
◆木ネジ
木材専用のネジ。木の繊維へ深く食い込むため、 抜けにくいのが特徴。
ネジ山は金属用よりずっと大きくなっています。
◆ドリルビス
穴を開ける、ネジ山を作る、締める。
これがすべて一本でできます。現場では時間を買うためのネジです。
材質の違い

鉄、ステンレス、真鍮、アルミ、チタン・・
さらに、ユニクロ、黒染め、三価クロメート、溶接亜鉛メッキ。
屋内か屋外か、湿気はあるのか、場所や環境によって、一本選ぶだけでも考えることは山ほどあるのです。
例えば鉄製のネジ。強度が高く価格も手頃なため、もっとも多く使われています。
ただし、そのままでは錆びやすい。だからユニクロや黒染めなど、用途に合わせて表面処理が施されます。
一方、ステンレスは錆びに強い素材。水回りや屋外の湿気が多い場所では欠かせない存在です。
たった一本のネジでも、使われる場所や環境を考えながら選ばれているのです。
ネジ一本で、その会社が分かる??
製造業には、 図面より先にネジを見る人がいます。
「なぜここは皿ネジなんだ。」 「ここはトラスじゃないか。」
「この材質なら電食しないか。」 「施工する人は締めやすいだろうか。」
ネジはただの部品ではありません。
設計者の考えや工夫が、いちばん小さな形になって表れた部品なのです。
最後に
ネジ一本だけでも、これだけの話があります。
ということは、何百、何千もの部品でできている什器や製品には、どれだけの工夫や理由が詰まっているのでしょう。
普段は見えない部分ですが、実はそういう小さな積み重ねが、使いやすさや丈夫さ、そして品質につながっています。
私たちも、「もっと組み立てやすくならないか。」「もっと長く使ってもらえないか。」そんなことを考えながら、日々ものづくりをしています。
一本のネジを選ぶことも、その積み重ねのひとつ。
見えないところまで考えること。それが、私たちが大切にしているものづくりです。